離婚が子供に与える影響
かつて、離婚は子供に何の影響も与えないと考えられていた。アメリカの心理学者ジュディス・ウォーラースタインは、親が離婚した子供を長期に追跡調査して、子供達は大きな精神的な打撃を受けていることを見出した。子供達は、両方の親から見捨てられる不安を持ち、学業成績が悪く、成人してからの社会的地位も低く、自分の結婚も失敗に終わりやすいなどの影響があった。ウォーラースタインの結果について、多くの国で大規模な追跡調査が行われ、悪影響が実際に存在することが確認された。棚瀬氏は、親の離婚で壊れる子どもたちについて報告した。
また各国で、子供から引き離された片親が片親引き離し症候群(PAS)にかかるとの報告も存在する。
日本も批准した子どもの権利条約では、その対策として、(1)子供の処遇を決めるに際しては、年齢に応じて子供の意見を聞くこと、(2)別居が始まれば子供も福祉に障害が生じない限り両親との接触を維持することを求めている。
離婚の悪影響を少なく抑えるための条件は、二人の親の間で争いが少なく、近くに住んで、再婚せず、二親とも育児に関わり、育児時間が50%ずつに近いことである。
離婚が子どもの成長にマイナスの影響を及ぼす理由について、経済状況の悪化を挙げる人がいた[。しかし、その後の研究により、それは離婚そのものの影響であることが確認されている。子どもの健全な発育には、父親の果たす役割も大きいのである(父と子の関係)。
メリーランド大学の Geoffery Greif 教授は、子どもと別居親との親子関係が切れる要因を研究し、別居親はなるべく子どもの近くに住むことを勧めている。また、離れて住む子どもに対し、行動を通じて愛情を充分に表現することを勧めている。
ケンブリッジ大学の Michael Lamb 教授は、別居親が子どもと遊ぶだけでは子どもの予後は改善されず、子どもに関与する中で父親としての役割を果たさなければならないと述べている。
ゲルフ大学の Sarah Allen 博士は、多くの論文を検討した結果、子どもの発達を改善させるために別居の父親にできるのは次のことだと述べている。(1)充分な養育費を払うこと、(2)同居の母親と協力的な関係を保つこと、(3)親として次のような役割を果たすこと。(規則を決めて子どもに行わせること。子どもを監督すること。子どもの宿題を手伝うこと。アドバイスを与えること。精神的に支えること。子どもが成し遂げたことをほめることなど)。
千葉前法務大臣は、平成22年3月9日の衆議院法務委員会で、次のように述べた。「離婚したあとも、両親がともに子どもの親権を持つことを認める『共同親権』を民法の中で規定できないかどうか、政務3役で議論し、必要であれば法制審議会に諮問することも考えている」。
子供が犯罪者になる、もしくは未婚の母になる確率
米国価値研究所Institute for American Valuesの調査結果による離婚と事実婚についての主な代償として(1)離婚や未婚、再婚した家族で育った娘が未婚の母になる率は3倍に達する。(2)親が離婚した子供は両親がそろった家庭に育った子供と比べて社会人になったとき、失業率や経済的な困窮が増加している。(3)母子または父子家庭で育った子供は、結婚している実の両親の家庭に育った子供に比べて2倍の確率で30代初めまでに実刑を受けているが挙げられる。またペンシルベニア州立大学ポール・アマトPaul Amato教授によれば、安定的な結婚を1980年の水準まで上昇させれば、停学になる子供を50万人、非行・暴力行為に走る子供を20万人、喫煙する子供を25万人、心理療法を受ける子供を25万人、自殺志向の子供を8万人、自殺未遂の子供を2万五千人、それぞれ減らせるとしている。
